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2014/02/22

Word+読み上げソフトの活用だけで国語の読解と漢字の書き取りの成績が大幅に向上

『ディスレクシアプログラム』実践事例研究紹介
奈良県生駒市立生駒小学校
高橋順治 先生

ICTを活用して障害児の学習・生活支援を行うプロジェクト
「DO-IT School」の成果報告会リポート
Word+読み上げソフトの活用だけで国語の読解と漢字の書き取りの成績が大幅に向上

 小学4年の女子児童でAD/HD(注意欠陥/多動性障害)と診断されており、読み書き障害の疑いがあるという。知的な遅れがないことがわかっていたことから、小学生の読み書き能力検査ツーツ、「URAWSS」(ウラウス:Understanding Reading and Writing Skills of Schoolchildren)によって読み書きの基礎能力を評価。その結果、読むことと聞き取りが苦手であることがわかった。

読み上げソフト「和太鼓 Wordaico」を導入。

 支援策としてWindows8タブレットにWord2013とWordのアドイン型の読み上げソフト「和太鼓 Wordaico」を導入。効果検証の方法として、2つの手順を実践した。最初は、児童が音読し、次に教師が範読、そして再度児童が音読する手順だ。次に、教師の範読に代えてWord+和太鼓による読み上げる手順を実施。その結果が次の画面の通りだ。
結果の通り、教師の範読よりも、Word+和太鼓による読み上げのほうが効果が高い。高橋先生は、「タブレットの画面に音読する文章がハイライト表示されるとともに、読み上げソフトによる音声が同時提示されることで集中力が高まったのではないか」と分析している。
 つまり、教師が話すよりも画面を見ることが集中力を高める効果があるのだろう。さらに、国語の単元テストにおいても、成果が得られた。
 児童はタブレットを自宅に持って帰っておらず、特別に何かしらのトレーニングをしたわけではない。それにもかかわらず、児童が自分でタブレットをタップしてWord+和太鼓を使っただけで、読解の成績が大幅に向上した。
 さらに、漢字に関しては書き取りの問題で、しかも書き取りの練習もしていないのに成績が上がったという。読解の成績が上がると副次的に書く能力も上がるのだろうか。このあたりの関連性は現状では把握できていないという。タブレットによる画面や音声が、児童の意識に強く働きかけたのremotetreechildrenかもしれない。

(リポート:レビューマガジン社・下地孝雄)
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