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2014/02/22

EV観光の楽園 沖縄−総括編−

沖縄県EV普及促進協議会 代表
白石武博 氏

【EV・PHV】<イベント>EV・PHVタウンシンポジウム─in 沖縄─
「EV観光の楽園 沖縄−総括編−」

観光客増加に伴うレンタカー需要拡大が観光資源を壊す

 沖縄の環境産業は、豊かな自然環境が資産となっている。観光産業が沖縄県の基幹産業であるため、沖縄経済と環境は同軸である。しかしながら、CO2増加率は沖縄県が突出しており、2006年度のエネルギー消費量の増加率は90年度比で約55%、CO2排出量増加率は約70%と都道府県との比較で突出しており、自然環境への悪影響が懸念され続けている。
 さらに、沖縄県のCO2排出量のうち過去20年間、運輸部門が最も大きい。沖縄県では自家用車による移動が多いことに加えて、観光産業が活発なためレンタカー市場も大きい。観光客数が増加を続けるとともに、レンタカーの登録台数も増加を続けている。
 99年を100とした場合、2012年の観光客数が1.3倍なのに対して、レンタカーの登録台数は約3.4倍にも増えており、観光客がレンタカーを利用する機会が増えていることを表している。
 実際に環境客のレンタカー利用者率は2011年度で56%、332万に達しており、レンタカー利用にともなる送迎バスの利用者も約300万人となっている。沖縄県を走る自動車の相当数をレンタカーと送迎バスが占めており、CO2を排出していることになる。今後、沖縄県が2016年度に目標としている観光客数1000万人が実現した場合、レンタカーおよび送迎バスの利用者数は540万人に増加すると予測されている。

まずはレンタカーと送迎バスのEV化を促進するべき

 レンタカーおよび送迎バスのEV化は、沖縄県の自然環境の保全への貢献となることは言うまでもない。沖縄県におけるEV・PHVのレンタカー利用について、沖縄県EV普及促進協議会代表で、沖縄県レンタカー協会会長、ニッポンレンタカー沖縄株式会社 代表取締役社長、株式会社カヌチャベイリゾート 代表取締役社長と、実際にリゾート事業とレンタカー事業を手掛け、EV普及に取り組む白石氏は、沖縄県はEV・PHVの普及に関して他都道府県と比較して優位性があると強調する。
 白石氏は、「現在のEVの走行可能距離は約160kmで、沖縄本当は両端約130km。観光客のレンタカー利用距離は1日100km程度なので、電欠を心配することなく安心して利用できる。そして、寝ている間にホテルで充電すれば、翌日はまた満充電で利用できて効率的。また、同じ130kmでも沖縄本当には県境がなく、充電設備を効率よく整備できる優位性がある」と主張する。

レンタカーで使用したEV・PHVを中古車で流通させる

 また、沖縄県におけるEV・PHVの普及についても、「EVの新車価格は高い。そこでレンタカーにEVを導入して、一定期間使用したら中古車として県内の約85万台規模の中古車市場に流通させることで価格が低下し、住民への普及が進むと期待できる」と説明する。
 また、「観光客にEV・PHVを体験してもらうことで、沖縄県の普及モデルを県外に発信して、県外のEV・PHV普及にも貢献できる」と続ける。
 レンタカー需要が高くレンタカーの登録台数も多い業界にEV・PHVを普及促進することで、結果的に県内全体への普及が促進され、沖縄県の自然環境と観光産業への好影響も期待できるという筋書きだ。
 そして、那覇商工会議所や自動車メーカー、レンタカー会社、旅行・観光・宿泊の民間が主体となり、2011年2月1日に220台のEVレンタカーを導入して実証を開始した。

レンタカー利用価格や車両価格よりも電欠の不安が先行

 1年後の総括で、実際の利用者の声をまとめた。すると、やはり電欠への不安が60%を超えていた。ガソリンスタンドが県内に300カ所あるのに対して充電設備は30カ所、充電設備に到着するのに最長30分かかることになる。このあたりが不安の原因ではないかと白石氏は指摘する。やはり、充電設備を充実させることが課題のようだ。
 さらに実施から3年が経過した現在について白石氏は、「南北約140kmの沖縄本島に対して、カタログ値200km走行できるEVでも不安感を払しょくできなかった。また、レンタカー利用料金をコンパクトカーと同価格まで値下げをしたが、それでも不安が先行して利用につながられなかった」と厳しい表情だ。コンパクトカーの平均稼働率が約70%なのに対して、EVレンタカーはわずか12.1%だったという。
 また、リース期間満了に伴うEVレンタカーの中古車販売についても、2014年1月末現在、県内の需要は非常に厳しく、県外放出もやむを得ない状況だと報告する。
 EV・PHVの普及は、車両価格の低減とともに充電設備の充実の両輪で進めなければならないことが浮き彫りになった。

(リポート:レビューマガジン社・下地孝雄)
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