エネルギー・環境

最新の情報通信技術(ICT)をはじめとした革新的なテクノロジーを駆使して実現される快適で便利な持続可能な社会、スマートシティ、スマートコミュニティの実現に向けて、関連する分野においてそれぞれ進められている研究・開発、実証実験など、実用化に向けたさまざまな取り組みを総合的に発信していきます。
2014/02/22

快適さを追求する環境配慮住宅「グリーンファースト」を核にした「スマートコモンシティ」の全国展開

積水ハウス株式会社
執行役員
環境推進部長 兼 温暖化防止研究所長
石田建一氏

環境配慮に取り組む上で、エアコンを点けるのを無理に我慢するような節電では、負担が大きく長続きしない。環境に優しい家づくりを進めている積水ハウスは、利用者が無理をすることなく、自動的に節電に取り組むことが可能な住宅を展開している。

省エネと創エネを組み合わせてゼロエネルギーを実現

 省エネに取り組む際、消費電力量をグラフなどで見える化するだけでは効果が薄い。逐次グラフなどを確認し、機器をオンオフさせるのに手間がかかるからだ。また、冬の時期にエアコンの消費電力量が多いことが分かった場合、寒いのにもかかわらずエアコンを消すような“我慢の省エネ”は、日々の快適な暮らしを阻害する。さらに、積水ハウスの石田建一氏は、「仕事だけでなく家庭でも数値に追われるのは大きなストレスになる」と眉をひそめる。
 手間や負担が少なく費用もかからない“快適な省エネ”を求められている中で、家が自動で省エネに取り組んだり、電力を生み出したりする環境を整えることができれば、省エネを意識することなく、健康で快適、かつ経済的な暮らしが実現する。
 積水ハウスは、省エネと創エネを組み合わせた環境配慮型住宅「グリーンファースト」を展開している。グリーンファーストは、太陽光発電や燃料電池、蓄電池などを取り入れた住宅だ。災害時に電力の供給元を蓄電池に自動で切り替えることで、災害で停電が起きた場合でも、電力を使った生活を続けられるのだ。

ゼロエネルギーハウスの標準化に向けて

 米国は、市場展開が可能なゼロエネルギーハウス(ZEH)を2020年までに開発する目標を立てており、日本も、2020年までにZEHを標準的な新築住宅とする目標を掲げている。
 ZEHは、エネルギー消費量を省エネで削減したり、創エネで相殺したりして、エネルギーの収支をゼロにすることを目指している。積水ハウスは2020年の標準化を先取り、ZEHに基づいた家づくりのコンセプト「グリーンファーストゼロ」を掲げている。
 その特長として、太陽電池や燃料電池、蓄電池の見守り機能を持つホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)を標準搭載している点が挙げられる。積水ハウスが、インターネット経由で機器の運転状況をチェックしてくれるため、手間をかけずに省エネに取り組めるのだ。ユーザーが外出先などから、機器の運転状況を確認することも可能だ。
 また、グリーンファーストゼロに基づいた住宅は、東京・大阪エリアの一般的な住宅と比較して、断熱性が30%程度向上しているという。一般的な住宅で吹き抜けの窓などを採用すると、景色は見やすくなるものの、冬は室温が下がりがちだ。グリーンファーストゼロでは断熱性が向上しているため、吹き抜け窓の環境下でも部屋の温度が下がらずに快適な生活を維持できる。

街全体が発電所として機能

 積水ハウスは、環境に配慮した街づくりも進めている。例えば、宮城県の富谷町に開発される大型住宅団地「スマートコモンシティ明石台」は、太陽電池などによって街全体が発電所として機能するという。3人世帯、431戸の消費電力量は1,469MWhで、創エネ(発電)量は2,508MWhになる見込みだ。これは、全戸で太陽光発電や床暖房に使う燃料電池を設置した場合の数値となる。停電時も、蓄電池の電力によって照明の明かりを維持できるため安全だ。

 こうした環境配慮型の住宅を普及させていく上で課題となるのが、蓄電池が高額という点だ。現に、積水ハウスのすべての環境配慮型住宅に蓄電池が導入されているわけではない。
 蓄電池に関しては、今後の技術革新による低価格化に期待したい。同時に、貯めた電力を利用することによる省エネ効果や、停電が起きた場合でも電力が使えるようになる点をアピールし、蓄電池を積極的に活用する街づくりを推進していきたい。

(リポート:レビューマガジン社・笠間洋介)
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